素人が、医療機関で働くということ。 [医療関係]
昨日夜、作った記事です。では、どうぞ。
「医療機関で働くということ」
最近、当たり前のことを再度考え直しています。
医療機関で働くということを。。。
薬剤師が長年の念願であった、薬局が医療機関として認知されてから、まだそんなに経っていない今日。
改めて、医療機関で働くことの難しさ、医療機関で働らく人間のモチベーションの難しさを実感しています。
きっかけは、うちの受付でした。
でも、彼女は１年間勤め、今月をもって退職。彼女の働きぶりを見ていて、医療に携わったことのない人間が、医療の現場で働くことの難しさを改めて感じました。
薬局は医療機関です。
ここは、病んだ人が来るところです。
体の病んだ人、心の病んだ人、患者の家族、心身に何らかの心配事を抱えた人の来るところです。
健康な人には及びもつかないようなことで悩み、苦しみ、病み、病んだことで更に苦しんでる。
そんな人が来るところです。それだけでもないけれども。
こんな言い方は失礼だけど、単なる小売店とは違うんです。
人は何かを病んだ時、些細なことにとても神経質になります。診察までの待ち時間、診療にかかるお金、薬の内容、副作用などなど、自分の医療に対して、ものすごく神経質になっています。些細な言動、不用意な態度、店内の環境、中で働く人間関係まで、事細かに観察してるといってもいいくらいよく見ています。
私達が相手にしているのは、全てではないですが、そういった方々です。
そんな所謂患者さんと呼ばれる方々に対して、あらゆる方法を持って、治療や現状からの打開のお手伝いをしています。
薬局なので薬からのアプローチはもちろんですが、ただ薬を出すだけで患者は癒されたとは感じません。話を聞いてほしくて、病院に来る人も大勢います。そういった方に限られた時間の中で、ただ話を聞くにとどまらず、出来たら何か心が軽くなることをします。私はまだ勉強不足なので、至らないことは沢山ありますが、そういった気持ちを忘れずに、仕事をしています。
つまり、医療機関で働くというのは、単に仕事をこなすだけではなく、誰かのためを思って仕事をする所なのです。
目の前にいる患者さんは、風邪薬が処方されましたが、この方は果たして風邪だけで苦しんでいるのでしょうか？見るからに着古した洋服、乱れた頭髪、荒れた手、おそらく主婦。この患者は風邪を罹患していても、その土壌となっているのは日々の生活の疲れではないでしょうか？ストレスかもしれません。それがついに自分の免疫力を上回って影響し、風邪を引いてしまったのではないかと。そう考えると、彼女に必要な接し方は、風邪薬の説明だけではないですよね。彼女が話したいなら、日々の不満を受け止めてあげること、聞いてあげること、忙しい業務の中でも少しでも彼女に降りかかる重石を取り除いてあげたい。かなり、風邪薬から飛躍していても、結局風邪薬の説明しかしてなくても、彼女から見て取れる現状を思えば、自然と優しく微笑むことができたり、同情できたりしますよね。要は、相手の気持ちを察して仕事をする場なのです。
店が混雑してる時、当然病院でも長く待たされたことが予想される時、患者さんは誰だって早く家に帰りたいです。薬をもらう時間が長いと怒りたくなりますね。特に医者という権威の前では卑屈になって言えなかったことでも、薬局なら言える、言っちゃうものですよね。そういう時に、処方箋を預ける受付で、無表情よりも、優しくにこやかに明るく挨拶されたら、少しイライラしたものが軽くなったりしませんか？自分が患者だったら、何をされたら嬉しいか、それを考えて仕事をするところが、医療機関なのではないでしょうか？
例えば、薬局には当然薬剤師がいます。
医師ほどではないにしろ、薬剤師の仕事にも、最近訴訟の文字が目立つようになりました。
うちは薬局の規模に比しては、限界ギリギリの処方箋を受け付けています。年に数日平穏な日があるだけで、ほとんどは戦場のように忙しく、集中の連続です。そんな中で働く薬剤師は、常に緊張状態にあります。処方箋調剤を例にとれば、受け取った処方箋を監査し、調剤、服薬指導、会計、それをほぼ一人でこなしています。何か一つ間違えれば、医療事故にも繋がりかねない、人の生死が常に隣にあるそんな環境で仕事をしています。絶えず緊張状態が続くので、イライラしている薬剤師も多いです、かくいう私もですけど。薬剤師が薬剤師の仕事に集中するためには、他の事務や受付の方は、自らの責任で自らの仕事をしなければならないでしょう。それは法的に受付に調剤の責任がないではなく、医療に携わった人間、或いは社会人として受け持った仕事には責任を持って覚え、実行していかなくてはならないと思います。
待ち時間を少しでも短縮するため、薬剤師が投薬時に呼んでも投薬口に来ない人がいたら、処方箋を受け付けた人間が、その患者を呼びに行くなどの気働きは出来ると思います。服薬指導の際、子供がうろちょろして親が落ちついて薬剤師の話を聞けないのは、服薬ミスに繋がるかもしれません。そんな時、その子供の相手をするだけで、薬剤師は落ち着いて必要な話をし、親も聞きたいことを聞く余裕を持てます。
医療はチームワークです。専門職のみが頑張れば成立する職場ではありません。うちの薬局でいうなら、受付、薬剤師はそれぞれの仕事をし、かつ連携していく。一つ一つの仕事は、マニュアルでは片付きません。説明されてないから、それは出来ない、ではなく、説明されなくても自ら患者のことを思い、行動していく。たとえその行動が多少行き過ぎであったとしても、患者さんを思っての行動なら、その思いやりに間違いはないわけで、ただ多少やり過ぎたわけで、次はそれを是正すればいいだけのこと。より良い仕事をしていくために、失敗も間違いもないにこしたことはないけど、必要なことだと思います。
医療の現場で働いたことがない人でも、医療機関で働けば、自然と前述のことは理解できるものだと、今まで私は思っていました。でもそうではないことが、今回よく分かりました。
最後に自分のことですが。。。
医療の現場で働く私が最も大切にしてることが、２つあります。
それは、笑顔と挨拶です。
笑顔の色を使い分けることで、色んな患者さんに安らぎを感じてもらえると思うし、挨拶は社会人として当然だと思っているからです。患者さんには心からの挨拶というおもてなしを。店のスタッフには、出勤し、退社し、つまり私という存在がココにいるという連絡と、コミュニケーションの第一歩として。
ただ私は対患者さんという関係に夢中になりすぎてしまうのと、自分が多忙であることで、他人にも自分のモチベーションを求めてしまうことがあります。まず私自身が忙しく、患者さんやお客さんの前以外、非常に険しい顔をして仕事をしている時があります。もうベテランのうちの受付さんは、そんな時、私を暖かく放っておいてくれますが、私を知らない人にしてみたら、気難しい人間だと思われたかもしれません。高いモチベーションを持って仕事をしている私は、それより下のモチベーションで仕事をしている人間を見下していたかもしれません。実際にそういう気持ちが態度に出てしまったこともあるでしょう。私は自分の感情を隠せないタイプの人間なので。
でも、医療機関というところは、やはり独特なところだと思います。
私は、資格があるなしに関わらず、医療現場で働くということは、特別なモチベーションをもって、相手を気遣い、思いやりのある仕事をすることだと思っています。全ては患者さんのために。
理想論とか、非現実的とか思われるかもしれませんが、私はそう思っています。
それを医療に携わったことのない素人に理解させるのは、非常に困難です。困難なのは、承知です。でも理解してくれてる、うちの受付もいてくれます。正直言えば、彼女は私の救いです。あぁ、こんなにも患者さんのことを思って仕事してくれる受付さんもいるんだなぁと思えるから。だからまた明日も頑張れるんだと思います。
こんなことを書く私って、やっぱり甘いですか？
きっと医療の先輩方、人生の先輩方からしたら、「甘いよ、なちさん（笑）」って感じかしら？
人生はもっと厳しいことが多いんだよ、と諭されちゃうのかな。
共通テーマ：仕事
医療に携わったことのない素人ですかぁ。
確かに「素人」かも知れません。
でもそれは玄人からみて素人という存在比較ができると思います。
「素人」という線を引くことで、医療の中に入りにくくしているのかもしれません。私自身もよくそう思うことがしばしばです。
でも、なんらかの線を引かないとディティールがわからないので
医療人というものがどういうものなのかがわかりづらいですよね。
これは医療に飛び込む人間だけでなく
その人たちを受け止める医療の人間が
どのくらい受け止めて包含してあげるかでしょうね。。。。
by yuukoku (2006-12-16 00:16)
＞ぷりんさん。
ｎｉｃｅありがとうございます。
by なち (2006-12-16 19:43)
＞せーらーむふ～んさん。
ｎｉｃｅありがとうございます。
by なち (2006-12-16 19:44)
＞ｓｔｏｎｅｓさん。
ｎｉｃｅありがとうございます。
＞「素人」という線を引くことで、、、ですかぁ。なるほど、そういう考えも出来ますね。排他的で、入りにくい雰囲気を作っちゃいますよね。
stonesさんは、いつも周りを見れてて、しかも患者さん第一に考えてて、尊敬します。なちはまだ一方通行の考えしか出来ません。でも、疑問に感じたことをブログに書いて、色んな意見を聞けるのが嬉しいです。
by なち (2006-12-16 19:53)
"人間嫌いでは医療人は務まらない"何年も前ですが、私はそんな風に先輩に言われました。なちさんとはまた違うジャンルの医療人ですが、最近その言葉の意味をしみじみ考えてしまいます。
私自身の話になりますが、ここ数年はマンモグラフィに携わる事が多くて…今はマンモの他、乳房エコーの勉強中です。なちさんのブログ読みながら、本当に色んな事考えさせられましたよ。なちさんのお母様も受けられたと思いますが、ただでさえ上半身裸という無防備な状態の上にかなり苦痛を伴う検査なので応対にはもの凄く神経を使ってます。痛がるからと引っ張り方を緩めると写真に写らない部分が出てきたりするし…どちらを優先させるべきか、ずーっと悩みの種なんですよね。
どんな職種であれ、医療機関に勤める人は少なからず患者さんへの対応などの悩みはつきもの。考え方も色々だけど…なちさん同様まずは"患者さんありき"でいたいなと私も思います。
ずいぶん長くなっちゃってスミマセン。うちも助手の方はパートさんなので、慣れるまでは本当に大変…なちさんの職場の出来事、他人ごとと思えない（笑）
by あう (2006-12-16 22:22)
コメントの時間がなくてnice押し逃げになってました。すいません。
もしかして、なちさんが求めているのは医療だけではなく「仕事するということを本気で考えているプロフェッショナルな人」ではないですか?それに対してだったら素人というカテゴライズもわかる気がします。そういう意味での素人さんには医療というのは職業としては誤魔化しが効かなくて難しいでしょうからねー。
by ぷりん (2006-12-16 22:25)
＞あうさん。
母ので、マンモの重要性は十分理解してますが、痛いというのが難点ですよね。まして検査技師の方は、痛い痛いと言う患者さんの要望をとるか、検査で死角を無くす方をとるのか、悩みますね。私だったら、と考えると、どっちの答えも出ないです。
でも、あうさん、大好き♪。このブログにコメントを下さる数少ない医療人であり、私と同年代。いつもコメントもらう度、励まされます。
ありがとうございます。それから、人間嫌いにはなってません（笑）。多少人間不信に陥ることはあっても、あうさん含めて、コメントを下さる方もいるし、皆助け合って生きてる。そんな優しい方が大好きだし、私はやっぱり人が好きだから、この仕事をしてるのだと思います。
by なち (2006-12-16 23:31)
また私のブログでも時々取り上げなきゃいけないネタ・・・・
それが医療人でない人をどう扱うかなんですが。。
いっしょにがんばりましょ。
by yuukoku (2006-12-16 23:40)
＞ぷりんさん。
ｎｉｃｅありがとうございました。
＞仕事するということを本気で考えているプロフェッショナルな人、、、
確かに私は一度決めたら全力投球型の人間なので、仕事のやり方は拙くとも、モチベーションの低い人に対しての評価は低いですね。「そんなこと言われても、私はパートなんで・・・」なんて言われたら、信頼できませんね。
不幸なのは、モチベーションの高さを求める年下上司(私）に、やる気が薄い部下。この関係は、中々難しいです。今までがそうでした。
患者さん相手の仕事なので、モチベーションの低さ、テンションの低さは、自分の体調云々でないなら、相手に悟られてはまずいと思うのです。だから、素人だろうと求めてしまう。プロだとか資格がないとかではなく、モチベーションなんですよね。やる気なんです。
私の持論なんですが、仕事は本気でやるからこそ楽しいし、難しいし、イライラするし、感謝されれば嬉しいんです。仕事の評価なんて、そんなに簡単に手に入らないし、それでも本気で取り組む姿勢が大切と思ってます。これを相手にも求めてしまうのが、私の良くないところですね。
分かっちゃいるが、これが。。。
by なち (2006-12-16 23:48)
＞ｓｔｏｎｅｓさん。
ハイ！こちらこそ、よろしくお願いいたします。
またｓｔｏｎｅｓさんのところで、勉強しに行きます！
いつもコメントありがとうございます。
by なち (2006-12-16 23:50)
うちに来ますか？
うちの医院も薬剤師さん探してたりして。。
↑
ジョーク ジョーク 半分マジだったりして（ｵｲ
でも、本当に難しいですよね。医療機関。
by yuukoku (2006-12-17 00:35)
＞stonesさん。
え？雇ってくれるんですか？（笑）
ジョークでも、嬉しいです♪
なーんて（笑）えへへ。
by なち (2006-12-17 01:30)
スマソ
by yuukoku (2006-12-17 09:35)
＞ｓｔｏｎｅｓさん。
（笑）
何かの暗号かと思ったぁー。
by なち (2006-12-17 20:47)
え？何がですか？
なにがあんご～う？？
教えておくんなまし
by yuukoku (2006-12-17 21:25)