SSブログ

ただ、ひたすらに、がむしゃらに、それを繰り返すのが大事なのよと、先人は言った。 [お仕事]

今日も朝から仕事に行く。
店着いて、白衣着て、歯みがきして、コンタクトつけて、戦闘態勢。
患者来る。薬出す。
患者来る。薬出す。
問屋が来る。納品する。
患者来る。薬出す。
ただ、それの繰り返し。

それの繰り返しだけれど、間違わなくて当たり前。正確で当然の世界。
神経すり減らす。動悸する。
この頃、負の感情が顔に出なくなった。
白衣着てる時だけだけど、、、普段はトド。
正の感情は意識して出している。それも仕事のうち。

患者はみな愛しい。
病んでいる、弱っている人に手を差しのべたくなる。
自分の全てを差し出して、手を差しのべたくなる。
それで自分を壊してしまう。それも性分。動悸が友達。

それでもたまに、ひどく腹が立つ患者もいる。
傍から見たら殴り出してきそうなくらい怒鳴られたこともある。
子供は大好きだけど、すごく憎たらしく思う時もある。
「ちょっと黙っててよ。ほらあんたも親なら、子供を注意しなさいよ。他の患者が迷惑してるでしょ」と胸から言葉が飛び出してきて、注意したくなる時がある。
だけど口から出るのは「もう少しだから、座って待っててね」だ。
はぁ~。。。

昼休み・・・。
夜の一人調剤の代わりに、この半年昼休みをもらえるようになった。
自宅に帰り、気分を変える。
食器を片付け、洗濯物をたたみ、次の日の用意をして、資料読んで、30分はあっという間に過ぎていく。
忙しくても、仕事とは違うペース。自分で作るペース。
何もせずにゆっくりしているより、気分が楽になる。フラットになる。
そしてまた、動悸を友に仕事へ向かう。
患者来る。薬出す。
患者来る。薬出す。
スタッフが一人、一人と帰っていき、夜は後からくる母ちゃんと二人だけ。
不景気からかパート勤めの母親が多く、子供も夜にならないと来ない。夜は激しく混む。
薬剤師一人。なち一人。
患者来る。薬出す。
患者来る。薬出す。
患者来る。副作用・併用薬ありDrに問合わせ。長い長い保留音を待てずに、子機を肩で耳に当てながら調剤。
この世で一番キライな音楽は電話の保留音。先生早く教えて。アレでしょ?アレでいいんでしょ?アレだって分かってるからとにかく早く教えてくださいな。
小心者だからハラハラしながら疑義照会終了。薬の作り直し。その間も待合室は患者で溢れる。患者のイライラがドヨーンと漂って白衣を貫く。ヘビィ。ヘビィ。
やっと薬出せる。
悪いなとは思いつつも、心の中でその処方箋は過去のもので、目は次の調剤の手順を追っている。
患者来る。薬出す。
患者来る。薬出す。
そして、最後の患者が来る。薬出す。
一日、無事に終わる。
閉店し、片づけし、発注し、白衣脱ぐ。やっと一日が終わる。
でもこれはふつうのこと。
薬剤師なら多少の違いはあれど、みなやってる。
みな粛々と、淡々と、やってる。
スマートにやってる。そんな薬剤師の一人として、自分も見られていたい。

でも時々、ガマンガマンと思う時もある。
平常心を乱すのに十分な子供の奇声。大声で叱るだけで、手元の携帯から目を離さない親。
セクハラまがいのジジイ。
手間だけが異常に掛かる薬。
何度も聞いた世間話が半端なく長いおばさん。
ヤンキー、酔っ払い、白衣の人物に依存しまくる患者。
服薬指導中でも携帯中毒のOL、リーマン。
そして、使えないおばさん新人受付。
「待てよ。待てよ。まだまだ注意はするな。もう少し待ってやれよ」心は常に叫んでいる。
「でも待ったよ。待ったよ。一年待ったよ。でもコレ。それでもコレ」いつまであたしゃ待てばいいの?
正直、テストでもやって、出来る仕事と出来ない仕事の区別を本人に分からせたい。
評価は48点。
でも管理だから、スタッフのミスは全て自分のミス。そこに例外はない。
疲れる。
人を中々キライにならない自分だけど、アイツはキライだ。

患者来る。薬出す。
患者来る。薬出す。
毎日毎日繰り返して、自分には何もない。
夢も人望もやる気もパートナーも実力もない。大してない。
この店だから何とかやってけるのだ、世間での私は下の下。
患者来る。薬出す。
患者来る。薬出す。
「おや?あの人はたしか、この前の・・・」
話す。話す。治ってくれた!嬉しい!また頑張れる。
患者来る。薬出す。
そして突然感謝される。患者は帰途に着く。
心が満ちる。本当は礼を言いたいのはこっちの方だ。
患者来る。
「あ!なちさん。あなたに会ったら聞きたいことがあったのよ」
そう言ってくれる。プレッシャー掛かる。でも嬉しい。
私はあなたのために存在しています。ありがとう。
患者来る。薬出す。
患者来る。薬出す。
毎日忙しい。命すり減らす。動悸もする。
でも誰かの役に立ちたい。患者の心からの笑顔が見たい。

私は薬剤師。だから明日も仕事に行く。


2008-12-05 20:43  nice!(2)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 2

コメント 6

ちょんまげ侍金四郎

大丈夫ですよ
患者としては、院外処方になって待ち時間は短くなってますし調剤薬局さんの方が明るくて清潔感がありますから
なんか病院の中での薬待ちってドヨ~ンとしてるんですよね、そして待ちが長い(笑)
by ちょんまげ侍金四郎 (2008-12-06 08:13) 

オラン

日常生活の大半を仕事に注ぎ、毎日絶え間なく頑張っていると、一瞬虚しさを覚えることもあるけれど。。。
人のため、患者のためにが一番。
そういう風に働いてとるなちのことを、おてんとさまはみとる。
by オラン (2008-12-06 12:18) 

なち

>ちょんまげ侍金四郎さん。
niceありがとうございます!
病院の待合室って独特の空気感ですよね。
ドヨーンとしてますね。
うちは、そういう空気になってしまった時、昼休みに自動ドアを全開にして、空気を入れ替えます。真冬でも(笑)
寒いですけど、、気分がシャキっとします。
by なち (2008-12-06 22:19) 

なち

>オラン。
お天道様は見ててくれてるかね?
うたた寝してないかね?
たまには、日常のご褒美をほしくなってしまうぜよ。
KAT-TUNのコンサート最前席とか?(なちが望むご褒美なんてそんなもんさ、笑)
でもね、たまに気持ちが腐って悪い気持ちが出てきても、お天道様が見てる!って自分を奮い立たせたりするんだ。
やっぱ、お互い、「お天道様」世代?(笑)
by なち (2008-12-06 22:23) 

ミィシャ

うんうん、私もおなじだ。
と、思って読んでたのですが……。
使えないおばさん新人に、反応してしまいました……。
確かにスタッフのミスは、管理のミスなんだけど。
私も、何かあったら、その覚悟はあるけど……。
でも、私達も人間ですからね~。
限界ありますし……。
でも、対患者さんは、同じですよ。
携帯中毒患者。
怒らないお母さん……。
安定剤山盛りのお母さんのお子様が、猛烈にうるさかったりすると、これは、お母さんの神経参っても、しかたないな……と、溜息でたり。
これから、年末まで、神経すりきれる時期ですが、乗り切りましょう!!!!!
by ミィシャ (2008-12-07 21:58) 

なち

>ミィシャさん。
niceありがとうございます!
そうなんですよ!どんなミスにしても、責任者ってのは責任を取るのが仕事ですから、誰のどんなミスも自分の責任になります。
ただね、、、それだって結構キツイ。
相手がそれを分かっていてくれるなら、その姿勢が通常業務で見えるか、或いは努力している姿や、素直な姿勢が垣間見れれば、庇ってあげたくなるし、気持ちも落ち着きます。ただね、、、それはムリ。
あの人にそこまでの想像力はありませんね。
命や生活の質が掛かった仕事なんですけどね・・・。
高齢者の患者さんと今日、お薬手帳をまとめる件で少しやりすぎて反省してます。外用剤だけの患者に、病院ごとに分けた手帳を1冊にするのは至難ですね。正しいことでも、やり方を間違えると正しくなくなる。
反省しきりです。
年末まで細い神経を繋ぎ、何とか頑張りたいです。
お互いに、あまりムリせず、何とか何とか・・・(笑)
by なち (2008-12-08 21:35) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証: 下の画像に表示されている文字を入力してください。

 

このブログの更新情報が届きます

すでにブログをお持ちの方は[こちら]